新型コロナウイルスワクチン接種後
梅雨明け後急激な激暑の毎日ですが、いかがお過ごしでしょうか。
コロナウイルスワクチン接種も徐々に進んできており、小平市でも若い年齢の方の予約が始まりました。内閣官房からの発表によりますと7月20日現在、高齢者の2回接種率は60%に及び、一般接種を含めると約18%になるようです。2回ワクチン接種をされた方からは「ようやく打てて安心しました!」というお声も聞こえています。
予防接種も2回終えたけど、きちんと抗体を獲得できているのか?と気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。目に見えるものではないので注射をしただけでは気になってしまいますね。
少し難しくなってしまいますが、今回は新型コロナワクチンと抗体についてお話したいと思います。
現在使用されているコロナウイルスワクチンはファイザー製のワクチンもモデルナ製ワクチンもmRNAワクチンです。mRNAワクチンはワクチンの種類のひとつです。ワクチンの種類については話が長くなってしまいますのでまた別の機会とさせていただきますが、このワクチンは、コロナウイルスの表面にあるスパイクタンパク質(S)に対する抗体を誘導し、COVID-19の発症予防効果を発揮します。
ウイルスの表面に存在しするスパイクタンパク質(S)によって、新型コロナウイルスに感染します。
抗体にはもう一種類主にウイルスの遺伝情報を収納しているヌクレオカプシド(N)というタンパクに対する抗体があります。
当院でも今まで行ってきた「抗体検査」はこのヌクレオカプシド(N)というタンパクに対する抗体を調べるもので、既感染の判定には有用であるものの、ワクチン接種後の抗体獲得の判定には不適でした。
ワクチン接種後の抗体を獲得したかどうかを示すのに適切なものがスパイクタンパク質(S)に対する抗体になります。この抗体がウイルスとヒト細胞との結合を阻害する中和抗体としての活性を有すると考えられています。
当院ではこの中和抗体(スパイクタンパク質(S))に関する検査も行っています。
コロナウイルス感染に対する免疫を獲得出来たかどうかを確認する指標になります。
2回目接種後1週間以降で抗体値はあがっているのでそのころ検査するのがいいでしょう。
しかしワクチン接種をしても何らかの理由で十分に抗体価が上昇しない場合もありますし、抗体ができたからといって終生免疫(今後ずっと抗体がついている状態)が得られたというものでもありません。
また現時点では中和抗体が陰性だったからと言って追加のワクチン接種は認められていません。
新型コロナウイルスの経過についてはまだ明らかでない部分が多い現状で、中和抗体が高ければ絶対に感染しないことを保証するものではありませんが、感染予防を心がける上で有用な指標と考えられます。
予防接種が進んでいる国でも基本的感染予防策、マスク着用、ソーシャルディスタンの厳守、換気など一つでも緩ませてしまうと再感染、感染爆発へと逆戻りしています。
ワクチン接種は安心材料にはなりますが、ワクチン接種したから感染しない、というわけではないということを肝に銘じて引き続き感染予防に努めていきましょう。
暑い夏マスクはつらいですが、頑張りましょう……